「はい、今日はこのへんで終わりー。お疲れさん。」
レッスンが終わって、みんなクールダウンのためにストレッチをしている。
スタジオに扉に目をやると、千紗先生がブンブン手を振っていた。
ケバ子ちゃん達はレッスンの途中で、どうやら帰ったみたい。
「宇美ちゃん。一緒に帰んない?」
スタジオが静まりかえった。
みんな手が止まった。
私も足の伸ばした状態のまま、固まってしまった。
BGMの音量がやたらと大きく聞こえた。
「え?・・・私と?」
「そうだよ。」
ストレッチしている大勢から、とりあえずきちんと座って。
「私、バスなんで・・・」
「俺、バイクだし送っていけるよ?」
「あ、えっと・・・」
どうしよう。
みんなからの視線と静寂に包まれてるスタジオに心臓がバクバク言いだした。
変な汗まででてきた。
こういうときにきっぱりと断れない自分が大嫌いだ。
「ごめん!宇美ちゃんにちょっと話があるんだけど・・・慎司君、また今度にしてもらっても良い?」
神の声が聞こえた。
うん、確かに聞こえた。

