着替え終わって更衣室から出ると、さっきとは打って変わってガランとしていたスタジオ。
みんな帰っちゃったのか、と少し寂しくなった時、斜め下から声が聞こえてきた。




「先生たち、またデートらしい。帰ろっか。」



「長澤君••••!」



やばい。予想外のことに心拍数は急上昇。
やっと冷めた熱が、舞い戻ってくるのにそれほど時間はかからなかった。



「あのさ、今日俺バイクなんだけど•••乗る?家まで送るけど。」


「え•••!?」


「強制じゃないから。もし、良かったら。」



もちろん良いに決まってるんだけど、私のような女が長澤君のバイクの後ろになんて乗って良いものなんだろうか。。。
色々な考えを思い巡らせていると、



「ごめん。やっぱ強制。」


申し訳なさそうに遠慮気味に笑った長澤君は自分の腕時計を、ん。と見せてきた。
時計は23時半を少し回っているところだった。
確か終バスの時間は、23時9分•••••



「ごめんなさい。」


「新井さんが悪いわけじゃないから!バイクあっちだから、歩こうか。」



微妙な距離を空けて、バイクの場所まで歩いた。