なのに

先輩が選んだのは、リカじゃなかった。

リカを振った先輩が、サチと付き合い出したことを、私だけはこっそり知らされていた。

サチと私は、1番仲がよかったから。

誰にも秘密。

二人でそう約束した。

細心の注意を払うつもりだった。

リカにだけは、知られたくなかったから。

バレれば、彼女の逆鱗に触れるのは目に見えていた。

でも

夏休みも終わりに近づいた日。

それは最悪な形で知れ渡ることになった――。