三人の音が重なった瞬間、真っ赤な光がステージを照らした。
弘治が生み出す激しいビートに、明人と平良が姿勢を低くしてついていく。
一呼吸遅れて、歓声が上がった。
それは、オーディエンスがカートを認めた合図だ。
ギターに覆いかぶさるようにかき鳴らしていた明人が顔を上げ、マイクに一歩近づく。
そして、歌い出す。
良子は体を震わせた。
いつもより力強い明人の声が、体中に響き渡る。
平良のベースラインが、体を内から強く揺さぶる。
弘治のスネアドラムが、鼓動と重なる。
地面が揺れる。
人の波が上下にうねる。
たくさんの拳が突き上げられる。
明人の歌が途切れると同時に湧き上がる歓声に、良子は思わず振り返った。
そこに広がるのは、一様に興奮したたくさんの顔。
充満しているのは、確かな熱気だった。
良子の胸に、熱いものが込み上げる。
大きくはないライヴハウスに、満員ではないオーディエンスでも、集まった人々の心が、確実に一つのものへと近付いている。
見ず知らずの他人が集まり、一つのものを見て、聞いて、体を揺らす。
そんな特別な場所が、他にあるだろうか。


