知人の伝手ながらにチケットは売れたと聞いていた通り、まずまずの集客だった。
フロアに点在する人を見て、良子はホッと胸をなで下ろす。
満員には及ばないが、決してガラガラでもない。
良子は、絶対に来ると言ってくれた圭と一葉の姿を探す。
すると、会場の隅でドリンクを飲んでいる一葉の姿を見つけた。
「一葉ちゃん!!来てくれてありがとう!」
良子が駆け寄ると、一葉も笑顔になる。
「良子さん!この間はライヴに来てくれてありがとうございました。圭さんに聞きました」
「すっごく良かったよ!一葉ちゃん、うまいんだね。すごくかっこよかった」
先日のジェイビーズのライヴを思い出し、興奮がよみがえる。
「えへへ、ありがとうございます」
照れくさそうに笑う一葉を見て、良子は改めて、このあどけない少女があれほどの力強いプレイを見せることに感心する。
「打ち上げ、来ればよかったのに。会えなくて残念でした」
「行きたかったんだけどね。圭君がちょっと…」
噂をすれば影とはよく言ったもので、その時、圭がフロアに入ってきた。
二人に気付き、手を振って駆け寄って来るのを見ると、一葉は良子に耳打ちする。
「悪い人ではないんですけどね。軽過ぎるのが玉に傷です」
「そうだね。悪い人ではないんだけど」
良子も賛同して、二人でクスクスと笑い合う。
「え?なになに?何の話?」
圭は二人の顔を交互に見るが、良子も一葉も知らんぷりをして通した。


