中でも特に二人を驚かせたのは、一葉のドラムだった。
あの小さな体で、これほど力強いビートを生み出していることを、すぐには受け入れることができないほどだ。
それは、一葉の絶妙なタイミングの取り方と正確さの成せる技だった。
ドラムは力まかせに叩くものではないということを、如実に物語っている。
圭の実力もなかなかのもので、
「あいつ、やるじゃん」
明人にそう言わしめるほどだった。
ただ、
「でも、ちょっと出過ぎだな」
テクニックをアピールしたがる圭の長過ぎるギターソロに、明人は苦笑した。
しかし、明人が圭を認めたのが良子にもわかり、圭の喜ぶ顔を想像するとうれしくなる。
早く明人と圭を会わせたい。
ジェイビーズの演奏はあっという間に終わり、三番目のバンドにバトンタッチした。
三組目は男性ばかりの3ピースバンドで、明人達より年上らしく、経験もありそうだった。
固定のファンがいるようで、安定した演奏を上手に盛り上げていた。
明人と良子も、気持ち良く体を揺らし、彼らの演奏を楽しむ。
良子はカートの音楽が一番好きだが、こうして他のバンドに触れるのも良いものだと感じた。
もっと色々な音楽を知りたいという欲求が膨れ上がる。
明人にとっても、他のバンドのライヴを見聞きすることは、刺激を受け、それによってまた新しい音楽を生み出していくために必要なことだった。


