「一葉ちゃん、すごいね。中学生なのに、ライヴハウスに出るなんて」
良子がそう言うと、一葉は照れくさそうに笑う。
「一葉はおれがスカウトしたんだ。めちゃめちゃうまいんだぜ」
圭が得意気に言うと、
「や、そんな、私は全然、大したことないです」
両手を横に振って、全力で否定する一葉。
そんな二人のやり取りを見ていると、良子の顔に自然と笑みが広がる。
「ふふ。楽しみだな。ジェイビーズのライヴ」
そう言うと、一葉が目を輝かせる。
「良子さん、来てくれるんですか?」
今度は“良子さん”と来て、再び戸惑う。
そんな風に呼ばれるのは初めてで、それもまたくすぐったい。
「うん。そのつもり。一葉ちゃんもよかったら来てね。カートです、よろしくー」
良子は一葉にもフライヤーを渡す。
「わ!かわいー!これ、良子さんが描いたんですか?尊敬します!」
一葉は食い入るようにフライヤーを見る。
照れくさそうに笑ってお礼を言う良子に、圭も言う。
「良子、センスあるよね。今度おれ達のも描いてよ。てか、対バンしたいよな!」
圭の口から飛び出た名案に、良子も目を輝かせる。
「それいいね!あたし、明人君や弘治君に話してみる!」
「明人さんと対バンなんて、めちゃくちゃ怖れ多いけど、できたらマジ最高だな!」
圭のうれしそうな顔を見て、良子はなんとしてもみんなを説得しようと心に決めた。


