さして興味がなさそうな顔で何枚かが受け取られたが、スタジオや楽器店のように笑顔で受け取ってくれる者はなかった。
受け取ってもらえるならまだ良く、無視をされたり、嫌な顔をされるのは辛かった。
さらに、
「かわいいね。中学生?」
「連絡先教えてくれたら行ってあげるよ」
そんな風にからかわれることも少なくない。
心が折れそうになる。
やがて今夜のライヴが開場となり、人が飲み込まれていった。
ひと気のなくなった路上に、良子は立ちつくす。
手渡したはずのフライヤーが無残に散らばっていた。
一生懸命描いたイラストに足跡がつき、ぐちゃぐちゃに丸めて捨てられたものもあった。
それを見た瞬間、良子は自分の甘さを知る。
捨てられたフライヤーを一枚ずつ拾っていると、涙がにじんできた。
バンドのために何かしたいという一心だったが、バンド活動というのはそんなに簡単なものではない。
どのバンドも集客に必死だし、バイトをいくつも掛け持ちして活動の資金を作る者も多いと聞く。
実力のあるカートの三人でも、それは同じだ。
軽い気持ちで手伝おうとした良子は、自分の無力さを改めて思い知る。


