「何?この無茶なスケジュールは」
「現実的じゃないね」
喫茶店に呼び出された明人と平良は、弘治によって目の前に出された紙切れを見て、顔をしかめた。
しかし平良はすぐに、いたずらな笑みを浮かべる。
「でもそういうの、嫌いじゃないよ」
それを聞いて、明人も観念したように頷く。
「いま音源ないの?アレンジの案、軽くイメージだけ相談したいんだけど」
平良が言うと、弘治はポータブルミュージックプレーヤーを取り出した。
イヤホンをつけて音量を上げ、目を閉じる平良。
その横で、明人が弘治に問う。
「弘治はどれがいいと思った?」
「一番は、2曲目かな」
その一言を聞いて、明人が表情をほころばせる。
それは明人自身、最も気に入ってる曲だ。
これまでも曲を作っては最初に弘治に聞かせていた明人にとって、弘治の評価が最も重みのあるものだった。
そして、その次に重要なのは当然、
「平良君の評価はどうかな」
尚も目を閉じて、耳に神経を研ぎ澄ませている平良の言葉だ。


