自宅に帰った弘治は、すぐさまパソコンを立ち上げ、明人の弾き語りが入ったUSBメモリのデータを読み込んだ。
それを聞いて、感嘆のため息をつく。
これまでも良い曲を書いてきた明人だが、バンドに対するモチベーションが、今までにないほど高まっているのがわかる。
才能あふれる平良に触発されたのだろう。
あるいは良子の存在も、少なからず影響しているのかもしれなかった。
バンドで演奏することが強く意識されているため、すぐに形になるに違いない。
弘治は知人のバンドマン達にメールを打ち、対バンの相手を探しているバンドを探し始めた。
すると、ちょうど欠員の出たイベントがあるという情報が入ってきた。
しかしイベントまでは一ヶ月しかなく、準備期間としては頼りない。
それでも、今の明人の勢いを殺さないためにも、一度ステージに立っておいた方がいい。
他のメンバーに聞くより早く、弘治はそのイベントの出演を決めた。
演奏できる曲は4曲と少ないが、おかげで1曲当たりの完成度を高めることができる。
初ライヴを成功させるべく、弘治はさっそく練習の計画を立て始めた。


