今後のバンド活動について相談するため、弘治と明人だけで居酒屋を訪れる。
ビールで乾杯し、いつもと変わり映えのない料理が並んでいた。
「しかし、良子ちゃんは無邪気っつーか、無防備っつーか」
弘治が気の抜けた顔で言う。
腕に絡みつかれたのがよほどうれしかったらしい。
「そこがかわいいんだけどね」
明人の言葉に、
「だよな!スレてなくて、素直でいいよな」
弘治も力強く賛同する。
バンドを続けている弘治と明人にも少ないながらにファンはいて、明人はその甘いルックスから特に、女性ファンが多かった。
ロックを好んで聞くこともあってか、派手な身なりをして、派手な遊びを知っている女が多い。
そうでなくとも、良子のように、世の中のことをほとんど知らないような無垢な女はいなかった。
そのため、二人の目には良子が新鮮に映り、大切にしたいという思いを同じように持っていた。
「で、“KART”のことなんだけど。近いうちにライヴしないか?」
弘治が真顔に戻って言う。
「そろそろだと思ってた。曲も、たぶん足りると思う」
明人はそう言ってニヤリと笑い、ポケットからUSBメモリを取り出した。


