LIVE HOUSE 2nd Gig




良子は耳を疑う。


“KART”は、メンバーの頭文字を取った名前だと言っていた。


仮のバンド名ではあるが、そこに自分の名前が入っているということが何を意味するか、すぐに理解することができない。


明人と平良の方を見ると、二人ともにっこり笑って頷いた。


その目が言う。


良子もバンドのメンバーなのだと。


ここが、良子の居場所なのだと。


目の奥が熱くなる感覚が、本当は淋しかったのだということを良子に気付かせてしまう。


どこにも居場所がないことを、平気なふりはできた。


でもそれは、受け入れることとは全く意味が違う。


良子はいつも探していた。


そして誰より強く求めていた。


自分の居場所を。


「うれしい!!ありがとう、弘治君!」


良子は感激のあまり、弘治の腕に飛びついた。


しかしすぐに、


「おいおいおい!それ駄目だって、良子ちゃん」


デレデレする弘治の腕から、明人によって良子がはぎ取られる。


「なんだよ、邪魔すんなよ」


つまらなさそうに言う弘治の陰に隠れて、良子はにじんだ涙をこっそりとぬぐった。