春休みの間に何度かスタジオでの練習が行われ、良子も欠かさず見学に訪れた。


おかげで四人の距離は近くなり、良子もすっかり弘治と明人になついていた。


約束だったシールドの巻き方も平良に教わり、練習の後は平良と明人のシールドと、マイク用のコードを巻くのが良子の役割になっていた。


良子はマネージャーのような気分で、三人と一緒に過ごす。


そして四月になり、良子は高校に入学した。


平良はあまり勉強に熱心でない高校で二年生に進学し、弘治と明人は変わらずアルバイトを続けている。


良子は高校生になった姿をみんなに見せたくて、制服のまま、スタジオに遊びに行くことにした。


オーソドックスな白いブラウスに、ワインレッドのリボン型のネクタイ、チェック柄のスカートに、紺色のハイソックスと黒のローファー。


紺色のブレザーは入学式などの場以外は着用が自由で、普段は学校指定のカーディガンかベストを着る。


色はベージュとグレーがあり、良子はグレーのカーディガンを選んだ。


いかにも女子高生という格好を鏡に映すと、照れくささと誇らしさの混じる表情をしていた。