明人がフードメニューを良子に差し出す。
「良子ちゃん、食べたいもの頼んでいいよ」
ずらりと並んだたくさんのメニューに、良子は声を上げる。
「いっぱいあるね。迷っちゃう!」
うきうきとした様子でメニューの端から目を通している良子に、
「居酒屋初めて?」
問いかける明人の目は優しい。
妹がいたらこんな感じなのだろうか。
楽しげに頷く良子を見て、そんなことを想像した。
「決められない!平良君、決めて!」
困り果てた良子が、平良にメニューを押しつける。
決められないというのも嘘ではないが、平良が普段好んで食べているものを、自分も食べてみたいというのが本音だった。
「じゃ、適当に」
そう言って店員を呼び、焼き鳥の盛り合わせや枝豆、鶏のからあげなどを、慣れた様子で頼んでいく。
それらが順にテーブルの届けられる度、良子は目を輝かせた。
普段行くレストランなどでは、こんなふうにテーブルにたくさんお皿が並ぶこともない。
物珍しさと、色々なものを少しずつ食べられるという贅沢な食べ方に、良子はすっかりと居酒屋を気に入る。
「居酒屋楽しい!」
少し酔いが回って、良子はいつになく楽しそうだ。


