LIVE HOUSE 2nd Gig




ぴたり、と足を止める良子。


平良が自分に連絡先を聞いてる、ということを、徐々に理解する。


初めて見たのがステージの上だっただけに、平良は良子にとって芸能人のような存在だった。


そんな人と連絡先を交換できるなんて、ものすごいことだ。


でも。


「あたしケータイ持ってなくて…」


せっかくのチャンスを逃し、良子はしょんぼりとうなだれる。


一方、平良は、


「あれ?おれって危ないヤツだと思われてる?」


そう言って苦笑いをしてみる。


遠回しに断られたのではないと、確かめるためだった。


平良の思った通り、良子は慌てて弁解する。


「ちがっ…ほんとに持ってないの!中学生だし、必要性感じてなかったし、連絡取るような人いないし…」


あたふたとする良子を見て、平良は吹き出した。


「アハハ!わかったわかった、信じるよ。じゃあ、おれのケータイ教えるから、たまに連絡してよ」


良子は、誤解が解けたことにホッと胸をなで下ろすも、


「じゃあメモ…あ、書くものないや!どうしよ…あ!コンビニで買ってくる!」


このチャンスを逃すものかという思いが強過ぎて、空回りする。


足踏みする良子の肩に平良の手が置かれ、ようやく動きが止まった。


「待て待て。落ち着こうよ。ハッハッ。良子ちゃんっておもしろいわ」


ポン、ポン、と二回肩を叩き、おかしそうに笑う平良。


肩と顔が熱い。


良子は何も言えず、悔し紛れに口を尖らせるだけだった。