「なーんて言ったけど、おれ、打ち上げとかあんまり行きたくなくてさ。良子ちゃんには悪いけど、口実にさせてもらった」
飲み屋街へ消えていく二人の背中を見送り、並んで歩き出すやいなや、平良は舌を出す。
「なっ…なにそれー!あたし、悪いことしたなーって思ってたのに」
良子は思わず頬を膨らませる。
「アハハ、ごめんごめん。でも、もうちょっとゆっくり話したかったから」
思わぬ言葉に、良子の胸が小さく跳ねる。
「バンドも決まったことだし、メンバーみんな経験あるから、すぐライヴできるようになると思うんだ」
「そうだね!楽しみだなー」
平良の言葉に、うきうきと心を躍らせる。
ステージの上の平良を見つめるだけでも、平良にまた会えるなら、良子にとってこんなにうれしいことはない。
それに、音楽が好きでたまらない平良にとって、バンドのメンバーが見つかったことは、とてもうれしいことに違いない。
平良がうれしいなら、良子もうれしいに決まっていた。
「そういう連絡とかしたいんだけど」
「うん!」
勢い付いて、平良の言葉の意味を理解する前に返事をしてしまう。
次に続く言葉に、耳を疑った。
「ケータイの番号、教えて?」


