わずかな時間のセッションが終わり、
「…どう?」
ドラムが恐る恐る口を開く。
「おれは、良いと思う」
ギターが言い、二人の視線が平良に向かう。
すると平良は、ニッと笑った。
「…これでいこう!」
その瞬間、ドラムとギターに安堵の笑顔が浮かんだ。
二人とも年上にも関わらず、平良に一目置いてるようだった。
「よっしゃ!じゃあそろそろ出なきゃいけないし、打ち上げに合流でもする?」
「そうだな。平良君は?」
二人が平良を誘うけれど、
「あ、おれは良子ちゃんを送らないと。こんな時間まで付き合わせたの、おれだし」
平良はそう言って断る。
二人のがっかりした顔を見て、良子は慌てて口を開いた。
「えっ?あっ…でも、あたしバスで帰るから大丈夫…」
でも、それを遮る平良。
「夜道一人じゃ危ないから」
にっこりと優しい笑顔を見せられては、これ以上何も言えなくなる。
「…じゃあ、お言葉に甘えて」
良子はそう言って、ぺこりと頭を下げた。