「なんで俺じゃ駄目なんだよ!」 保育園の玄関を七時三十五分ジャストにくぐったあたしの耳に、雄太の少し太くなった声が響いて来た。 なんだ、なんだ? 「だから、君はまだ中学生だろ? いくら兄弟っていっても、二歳の幼児を未成年に引き渡す訳にはいかないんだ」 「俺はいつも雄輝の面倒みてるんだぜ、未成年がなんだってんだ」 「だからぁ、これは決まりなんだ」 兎に角、行かないと! 「すいませぇ~ん、遅くなりましたぁ」 息せき切って園児室に滑り込む。 と、そこにはにらみ合った二人の男の姿があった。