<ピポ、ピポ、ピポン>
と間抜けな入店合図のチャイムが鳴り響く。
男は真っ直ぐレジの方へ進んでくると、身に纏った黒っぽいミニタリージャケットの深い前身ごろのポケットから刃渡り15cmほどのジャガーナイフを取り出した。
「騒ぐな、金を出せ」
男はヘルメットの中からくぐもった声でそう言った。
やはりコンビニ強盗らしい。
あたしが小さく目配せをすると、田中くんがカウンター下の警報ボタンに手をのばす。
「おい、動くな」
田中くんは、図体こそ180cmほどある大男だが、線の細い草食系男子だ。
「ひぇ……」
そう小さく叫ぶと手を引っ込めてしまった。



