あたしが入社したのは、中堅商社。 配属は穀物飼料課。 主に中米からの輸入業務を担う部署だった。 貿易事務の資格を持つあたしは、ある意味即戦力だったのだ。 一通りの引継ぎを終えたあと、業務を任されて、日々の仕事に忙殺された。 雄太もスクスクと育っていった。 ある意味、余計なことを考える暇がなくて幸せだったのかも。 あの日、あいつが帰ってくるまでは……