「言わせて貰いますけどね、
太一だって、あたしが雄太を身ごもった時、
『産みたいなら産めばいい……』とか、
凄い無責任なことしか言わなかったんですよ!」
「そりゃ、まあ、そうなんでしょうけど」
「ある意味、あたしはそういう星の下に生まれついてるんです。
大丈夫、雄太だってこの通り、一人で立派に育てたんです。
この子だって……」
と、あたしは大分膨らんできたお腹をゆっくりと撫でた。
「雄太も、喜んでくれてます」
「そうですか……
僕は、あなたの決断に何も言う立場にはありませんが、これだけは聞いて下さい。
もし、何か困ったことがあったら、遠慮なく相談して下さい。
今の世の中、母子家庭が乳飲み子を抱えてたやすく生きていけるほど寛容じゃぁありませんよ。
僕は太一に、あなた方親子の幸せを見守るように、頼まれてるんです」
「大丈夫、あたし達は幸せですよ」
あたしは雄太を身ごもった時のように、何故か穏やかな気持ちでいた。
「あなたは凄い人だ」
坂本弁護士は、半ば呆れたように呟いた。



