「不倫して出来た子だって、あたしにとっては大切な我が子でしょ。

でも、産むって言ったら捨てられました。

男としてどうですか?

彼のそういう気持ち、理解できます?」


あたしは、彼の戸惑いに追い討ちをかけるように詰め寄った。

別段、彼に恨みが在る訳ではないのだけれど。


「う~ん、僕なら先ず、不倫はしないかな。

女性が既婚男性に近づく意識が理解できないし、僕なら既婚女性に手は出さない。

でも、貴方の場合、彼の子を産んだって時点で、不倫という言葉は当てはまらないような気がします。

僕自身は、恋愛にとても消極的で、貴方のその気持ちを理解できる程、精神的に成熟していないというか……

女性に対して免疫ない、っていうか、そもそも信用してないっていうか……」


素直に答える彼に、好感が持てると思った。


「なんとなく、わかる気がします」


「でも、何だか、貴方には素直になれる気がします。

一緒にいても煩わしくないっていうか、むしろ、一緒にいたいっていうか……」


「えっ?」


あたしの気持ちを見透かしたように、思わぬ言葉が漏れ聞こえたけれど。

丁度その時、洗濯終了ブザーが洗面室から響いてきて救われた。