少なくとも、今の僕は幸せかと問われれば、この上なく幸せである。



確かに、僕の心臓をわずかに逸れた場所からは夥(おびただ)しい血が流れ出している。



しかし、どうだろう。



僕の目の前には、僕の血まみれの体を抱き起こし、ダイヤのような涙を流す、美しい君の顔があるのだ。


こんな幸せがあるだろうか。



街行く人々は、まるで僕をとても哀れな者であるかのように一瞥するが、しかし彼らのために君のこの美しい涙が捧げられることはないのだ。