ぽそりと、 看護婦の話が扉の向こうから 聞こえた。 聞こえてしまった。 「加宮さん、 今日が峠らしいわよ。」 ・・・耳にこびりつく。 はなれないその言葉に 頭を強く抱えた。 涙は出ない。 出るのは嗚咽だけだった。 「俺をッ・・・」 置いていかないでくれよ。