「いや、見るよ。 せっかく母さんが 遺してくれたんだし。」 「・・・そうか。」 「親父も見る?」 「いや、いい。 お前に遺したものだからな。」 その言葉に、 俺は小さく頷いた。 親父も頷く。 そして腕時計に目を戻した。 「・・・じゃあ、帰る。」 バッグとコートを手に取り 扉に向かい歩き始めた。 俺はその背中に向かい 大きく声を上げた。 「親父ッ!!」