ロッジに戻った五人は、誰も言葉を発さず、重苦しい雰囲気を漂わせていた。


不意に武が沈黙をやぶる。


「あの歌、何だったんだろうね」


「わからない・・・でもみんなも聞いたみたいだね。
私は最初のあの時しか聞こえなかったけど」


晴海が答えた。


「ねぇ、みんなもうやめようよ、早朝には帰れる事だし、こんな事もう忘れよう?」


肝試しの発案者である美咲が、泣き出しそうな声で言った。
出かける前はあんなに勇んでいたのに、いざ霊の存在を目の当たりにすれば弱いものであった。


そう・・・明日は帰れる。
忌まわしい体験は忘れて、またいつものような楽しい大学生活に戻ろうと、それぞれ床に就いて眠れぬ夜を過ごした。


これがほんの始まりだという事にも気づかずに・・・