「はい。
後悔しない為に
選んだ人生ですから。
自分一人が生きる
よりも、
誰かを生かす為に
自分も生きる…
うまく言えないけど、
人生って本来そうゆう
もののような気が
するんです」



僕の言葉に、

2人はしばらく沈黙した。



そして、

沈黙を破る言葉は

母が発した。



「そうゆう人生も
悪くないかもね。
私だってお父さんが
何か障害を抱えていても、
結婚してただろうし。
これから先に
お互いに何かあっても、
ずっと一緒に
いるだろうしね…
ねっ?お父さん?」



潤んだ瞳を

拭いながら、

母は父の顔を見た。



「そうだな…
それが、夫婦って
もんかもな」



そう言う父は、

照れくさそうに

笑った。



姫乃の話をした時の

両親の反応に、

一時はどうなる事かと

思った…



姫乃の父もそう、

僕の両親にしてもそう、

ほんとうに誤算だらけで

予想が大きく外れていく。



だが、

まぎれもなくその心中は、

我が子を想う強い愛情で

溢れている。



今僕は、

目の前に居る

この2人みたいな夫婦に、

自分達もなりたいと

思った。



それが、

今日の一番の

誤算かもしれない…