ゴメンナサイ

彼女からの答えはNOだった。
そんな些細な事を忘れられずに今も引きずっている。

あの春から3年が過ぎ、今では大学3年の冬が過ぎようとしていた…。

「雪彦、お隣の美樹ちゃん交通事故で亡くなったの、今月の15日が葬式だから帰って来る?」

実家の母からの電話だった

「えっ…?」

頭の中が一瞬で空っぽになった。
一体、母は何を言っているのだろうか?

「聞いてる?雪彦…?返事しなさぃ…ょ………」

もう母の言葉は俺の耳には届かない。届く訳がない。
彼女が死んだのだから……。

葬式は高校仲間が集まり、学生時代の話で盛り上がった。
もちろん話題の中心はもちろん美樹だ。
でも、その話題は直ぐに悲しみえと変わる。
美樹はもうここには居ないのだから…。

葬式が終わり、辺りは夕暮れに染まり、
公園で遊んでいた子供たちは家へと帰りだす。
久しぶりに街中を散歩してみた。

街の中は美樹との思い出ばかり有り、美樹は今でもこの街の何処かにかくれんぼしているのだろうか?
昔みたいに結局寂しくなって鬼の前に自分から見つかりに出てくるだろ…美樹……?

公園のブランコに座り夕暮れを見ていると昔の記憶ばかりが蘇ってくる。

「バカヤロウ…」

俺は、夕日を見るのを止め、足元ばかり見つめていた。

「大丈夫ですか?何処か痛いんですか?」

声と同時に足元にスカートを着ている人影が目に入ってきた。

「…………」
「もう、黙っていても分からないですよ。」

何だこいつ?

「あっち行けよ」

つい、思ってた言葉が出てしまう。

「何?ちゃんと喋れるじゃん」
「うるさいなー」
「良いよ、答えなくても私1人で勝手に話しているから」

彼女はそう言うと隣のブランコに座り、漕ぎ出した。
ギーィ、ギーィ、ギーィ…
2人の間に沈黙が流れる。
ただ聞こえてくる音はブランコの揺れる音だけだった。