「うわー最悪だね、この空気。何処で息すればいいのかわかんないな」 突然聞こえた新たな声に、体がびくっとなった。 向けていた背中を戻し玄関を見つめる。 「あー・・・・美城」 兄の声と共に家の中に入ってきた男。 黒縁の眼鏡をくいっと上げて、部屋を見回す。 「・・・な、美城!?」 「どーも・・・」 まさか、嘘だろ? あの美城? 俺と兄貴の後ろをチョロチョロついて回ってた、美城!? 「・・・美城なの?」 あの女の声に、美城は小さく微笑んで「ああ」と答えた。