そう。すべて、やったのは“あの子”。

“あの子”さえ、いなくなれば、
私はただ、悲劇のヒロインでいれば良い。


今の“私”は、何も持っていない“三枝ほたる”じゃない。
すべてを持っている“大谷さゆり”なのだから。



さよなら、“ほたるちゃん”。

“私だった人”が落ちていく。


落ちる、堕ちる、墜ちる。




綺麗な綺麗な、“新しい私”の手で、奈落の底へ、押し込んで。







― 了 ―