さゆりちゃんが冷たい笑みを浮かべたまま、私を見ている。


私の頭に浮かぶのは、
さゆりちゃんに向けられた先輩の笑顔と、
線路へ吸い込まれて行った先輩の背中。



ずっと大嫌いだった。
お金持ちで、美人で、
私の持っていないものをすべて持っていて。それだけでは飽きたらず、
私の気持ちに気付いていながら、
私の好きな人まで自分のものにした“さゆりちゃん”。

彼女をかばって、バランスを崩した先輩の背中。



あなたまで、その人を取るなら、
あなたなんて、もういらない。


頭に浮かぶのは、
私の手に押される、
先輩の大きな背中。



私は、死にたくない。