「さゆりちゃんもこっちにおいでよ。」

“三枝ほたる”はそう言って、私の方へ寄ってきて、腕を引く。

その手が、昨日の出来事をフラッシュバックさせた。


私の腕を引く、先輩の大きくて、力強い腕。

違う。それとは違う。

小さいけれど、力強く、
そこに確かな“悪意”、
もしくは“殺意”を感じさせる、手。





「オ下ガリクダサイ。電車到着イタシマス。」


「先輩、下ガリマショウ?」




あの時の、手。




“私”が、
“さゆりちゃん”を、
殺そうとした。