屋上は太陽の光りが降り注いでいた。
それでもそこに吹き付ける風は、とても強くて、
暑いのか、寒いのか、よくわからない気候だった。

そんな強風のせいなのか、屋上に先客は誰もいなかった。



彼女、“三枝ほたる”は、先に歩いて行き、柵に寄り掛かり、そのまま腰を下ろした。


いつもの“私”なら、“さゆりちゃん”の前を歩くことは、絶対になかった。

いつも“私”は、“さゆりちゃん”の後をついて歩いていた。

“さゆりちゃん”の意見も聞かずに動いたりするなんて、考えられなかった。


“私”はそういう人間だったはずだ。