狼クン達のオリの中③【完】

「うん…
たぶん…
これは…さ?
本当にボクの憶測なんだけど――…」


そう薫は前置きして、可愛い瞳をゆらゆら不安そうに揺らして、


「…お姉ちゃんの泣き顔は見たくないから」


痛々しいほど切ない光を浮かべた瞳で、あたしに言った。


「きっとさ。
何か“わけ”があるんだよ」


「…え?」


「涼兄が。
お姉ちゃんに別れようなんて言うなんて。
きっと何か“わけ”があるんだよ」


「“わけ”って…?」


「ん―…
たぶん…あのせい…
そう思ってることはあるけど。
でも…まだ今は言えない」