「あーもー。
お姉ちゃん!
いい加減、泣くのやめなよ!!」


怒ったような声が響くと同時に、かけよってきた薫が、ギュッとあたしを抱きしめてくれるように。


目から落ちる涙は、止まらない。


悲しくもないのに。


ツラくもないのに。


勝手に、目から涙は零れ落ちる。


「だから、ボクにしときなって言ったでしょ?」


「…………」