狼クン達のオリの中③【完】

薫お得意の、パーカーのフードをかぶって、組んだ腕に頭を突入させる勢いで、ふらふらっと上下に揺れながら、それでも静かな寝息をたてている。


…ってか、あんた。


なんでこんなところにいるの?


薫の奇妙な行動に首を傾げつつ、


「ま、いっか」


なんて、スルーして、綾瀬涼の部屋に向かおうと思ったけど――…


そんな薄情なことをできる自分でもなく。


本当は早く綾瀬涼の部屋に行って真相を確かめたいのに――…


「…ったくぅ。
薫のやつ~。
何寝ぼけてんだよぉ!
あんたの部屋はあっちでしょ?」


あたしのペースを崩す薫の行動にぶぅぶぅ文句を言いながら、仕方なく座り込んでいる薫に声をかける。