浅野はうちのひざを見て
眉間にしわをよせる
「あーぁ。血ぃでてまっとるし。いたそお。ちょっと大人しく車乗っとれな?」
そう言うと車を降り駅の方へ走っていった
私は怒鳴られたことも
どこかへいったことも
全然気になってなかった
頭には母さんの言葉しかなかった
マナミデヨカッタノ二
「ごめんおまたせ!」
浅野は車にのり後部座席のうちの横に来た
手にはドラッグストアの袋
「足ちょいあげてみ?」
言われた通り浅野の方に体ごと向き
体育座りして足をあげる
「しみるけど我慢しろよ」
傷口をウェットティッシュで拭き
消毒をしてガーゼをあてる
裸足で真っ黒だった足の裏も
丁寧に拭いてくれた
手当してもらってる間も
涙がとまらない
車にはテープのピリッという音や袋の音
あとはうちの鼻をすする音が響く
