ふたりりさいたる−先生へ−



ポーン‥


最後の音を弾き終えて
音の余韻に浸る


この響きがたまらない



「‥すっげぇー」



え?


ぱっと顔をあげると
グランドピアノの隙間からみえたのは
ドアにもたれかかる浅野



「びっくりした‥ずっとおったん?」

「や、日直だから見回りしてたら聞こえたからきてみた。てかうまいねまじで」

「そおかぁ?あんまほめられんけどね。」


ピアノのフタをぱたんとしめる


「おわり?俺見回りまだやっとるで弾いていいよ」


そう言われたけど時計を見ると
もう5時半だった


「ん〜用事あるから帰る。」


「なんだ残念。まーちょいやってけばいいのに」

「なに。そんなうちのピアノ聴きたいの?(笑)」

「なんか珍しいもん見た気分だから。(笑)やらないんなら早く帰りなさい」

「なんじゃそれ。かえるわっ」


ピアノを片付け
浅野と一緒に音楽室を出た