「俺は怪しいと思ってる。」
怪しい?
「何が?」
「だから、東信人が!」
鈍い私にイラッとしたのか、陸は荒々しい声を上げた。
「もしかしてスパイ…?」
「ああ。少なくとも俺はそう思ってる。」
「なんで?不審な行動でもあったの?」
「いや、そうじゃないけど。入学式を風邪で休むって、なんか怪しい気がして…。」
それだけで?!
そりゃ、そうよくある話じゃないけど、ない話でもないでしょ。
「気にしすぎでしょー。」
「そうか…?」
「そんなに気になるんだったら、みさに聞いてみようよ。何か任務命令があるかもだし。」
「そうだな。じゃあ、行くか。」
「うん!」
私達は、教室に向かって走った。