「沙希ー!英語の教科書貸してー」


1時間目の休み時間。


私は小学校から仲良しの隣のクラスの疾風(ハヤテ)に呼ばれた。



「また教科書忘れたのー?・・・はい、どーぞっ」


「サンキュ!教科書、落書きだらけで意味ねえんだよ!」



そう言った疾風に呆れた目を向ける。


どんだけ落書きしてんだよ・・・・・・。


でも、疾風は学校の人気者だからそんなこともあるんだろう。



「私の教科書には落書きしないでよ〜?」


「わかってるって!これ、お礼。後で返しにくるからさ!」


疾風は私の手の平にイチゴ味の飴を置いて自分のクラスに戻って行った。