「うん、いない・・・」 そう言った疾風の顔には、耐え切れなかった涙が次々に溢れだしついる。 私は、涙がでなかった。 疾風は、優斗のことを話して行った。 疾風と優斗は、兄弟で。 お互い、別の両親に引き取られて育ったこと。 週1で優斗に会っていたこと。 優斗が、心臓病だったこと。 私のために、手術を受ける決断をしたこと。 全部、話してくれた。 疾風が屋上を出て行った後も、私はその場から動けないでいた。