「沙希、疾風が呼んでる!」 1時間目の授業を上の空で受け終えた後。 クラスの男子、中島くんにそう言われた。 ・・・・・・疾風? いつもなら自分で呼ぶのに、なんて思いつつ疾風の所へ向かった。 「疾風?どうしたの?」 「・・・ごめん、沙希。ちょっとついて来て」 俯いていて表情が見えない疾風の声は、どこか弱々しく、震えていた。