side 優斗



「優斗くん、おはよう。よく眠れた?もう抜け出しちゃダメよ?」


ドアをノックして、白衣を着た女の人が現れた。



「はい、眠れました。抜け出したのは・・・すいません」



俺がそう言うと看護婦はいいのよ、と笑う。



「今日も抜け出すの?」


「はい。そのつもりです」



この人は優しく、周りの医師が反対してもとにかく俺の意見を聞いてくれる。


昨夜抜け出しても、大事にならないようにしてくれていた。



「んー。オススメは出来ないわよ?」


「それでもいいです。あの子に会いたいんで」


「あら?優斗くんにも春が来たのかしら?」



意地悪そうに笑う看護婦。


でも、その表情はどこか嬉しそうだ。



「ははっ、俺にも来ましたよ。とっても可愛い春が」


「もう、惚気ちゃって!今日の外出、1時間したら戻って来ること!防寒もバッチリに!それなら先生も良いって言ってたから」


「ありがとうございます」



きっと、頑張って説得してくれたんだろうなと思い、お礼を言う。


「いいのいいの。朝食持ってくるわね」



看護婦はそう言って部屋から出て行った。