「本城さん」



…出たな、この野郎


「なぁ化粧濃い」


うるせーよ、ほっとけ

「すいません、化粧は命なんで」


「馬鹿か、せめてもっと
チーク薄くできんの?」



あたしの名前は『本城 泉』

18歳、フリーター。


高校は行かず働いたものの
自分にあった店ではないと
先月辞めた。


んで今はここのでバイトしてんだけど。


居酒屋。

人の化粧に文句を言う目の前の彼は

ここの店長、『一ノ瀬 真一』

34歳、嫁と2人の子持ち。



「できません。」


「はぁー?
俺はチークする女事態
好きじゃないんだけど」


おめーの好みなんて知るかよ。


「奥さんだってチークくらいするでしょ?」