「じゃあ、アイツ利用したら?」

「“アイツ”?」



栞の視線の先を見ると、廊下を歩く恭平君の姿があった。



「高峰~」

「んあ?
…っと、桜木ちゃん!!」



私を見つけて、目を光らせる恭平君。



「呼んだの私なんだけど!!」

「あ…深川…さん」

「なにその反応は!!」

「ごめんなさいっ!!」



怒る栞に対して、廊下で勢い良く頭を下げた恭平君は、注目の的になっていた。



「ちょっと来てよ」

「…え゙…」

「何か言ったぁ?」

「い、いいえ!
何でもないです!!」



急いで走り寄って来た恭平君。


…かわいそうだな。


そんな恭平君を見て、哀れに思った。


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