「なにか問題でも?」



心外だ、とばかりに目を見開く霧島くん。


その目は、小さいころに絵本で見たチェシャ猫のように、大きくて、爛々と光っていて。

なんとなしに惹かれるものがあるのだけれど、考えてであろうことは一切、瞳から読み取ることができなくて。


特徴的、ではあると思うけれど、正直なところ、私はこの目が苦手だ。


何を考えてるのかわからないのに、逆にこっちの思考はすべて読まれているかのような錯覚を覚えるから。

一方的な力関係が、なぜだか怖い。そう思うのである。



そうだ。


問題…。

問題なら。



「大ありだよ霧島くん!」



今は霧島くんの眼光に怯んでいる場合なんかじゃない。