キミは絶対、俺のモノ。




「なにか俺に言いたいことでもあるの?」



問う、霧島くんの口元には、ニヒルな笑み。


その顔は私を追い詰めて困らせるのが愉しくて仕方がないと言っている。

嗜虐者のみが持ちうる妖艶な表情。



「言いたいことがあるなら、言ってご覧?」



優しい風を装って、仮面みたいにひとの警戒心をほだすようなやわらかい笑顔を貼りつけて。


…おいでおいで、と手招きをする。



「大丈夫。

君がなにを言おうと決して怒りはしないさ。」



私は、直感的に思った。

霧島くんの甘い低い声は、蝶々をあの手この手で誘い込むハナカマキリのようだ。


見た目は人畜無害で、なんの問題もなくて。

遠くから見るぶんには、なんてことない。


だけど、ふわりふわりと惹き込まれたら最期。

鋭い鎌でひとの心を踏みにじるの。



…"あのとき"のように。