霧島くんと自分とを置き換えて、そうして悶々と自己嫌悪に苛まれていた私には。
(だ、だって私どこをどう捉えても最悪なんだもの。)(見た目の美しさで勝てるわけがない。)
「いつもそうならいいのに。」
ポツリ。
ひとりごちるように霧島くんが呟いた言葉には気づくよしもなくて。
「…なにか?」
言いましたか、と。
またひとの話を聞かないでうんぬん、と怒られるのがいやで問いかけてみれば。
(私にだって最低限の学習機能はあるのですよ。)
「なんでもないよ。アホの子の尼崎サンにはわからないような、ムツカシーイお話。」
ニィ、と人差し指を唇に当ててあやふやにされる始末。
(あれは"嘲笑"の類だ。)(…間違いない。)

