にゃぐううっ…さ、逆らえるわけがない。
先ほど抵抗を試みたばかりだ。
わざわざ自分から死ににいくような真似はしない。
"逆らったらどうなるんだろうな?"オーラというか目が(そう目が!)、 そう威圧してくるんだ。
(ほんとうだよ!)
「尼崎サン?」
いやだからさ、行くけどさ、行くけどもさ!
「っ…」
霧島くんはどうでもいいだろうけれど。
でも私、オムライス作ってもらうためにお母さんの機嫌をとるの、すんごく大変だったんだよ?
昨日の夕飯つくって、お掃除機もかけて、『疲れてるでしょ?』って肩たたきして、『あんのクソハゲ店長が!』って愚痴るお母さんを『ですよねー。』って精一杯よいしょして。
─…ここまでするなら自分で作ればいいじゃんって?
わかってないなあ、あの味は家のお母さんしか出し得ない味なんだよ。
ふわとろ半熟卵に、ほどよい味付けのケチャップ風味のチャーハン。
そのハーモニーが、もうかれこれうん十年、私の舌と心を離さないわけですよ。

