「期待してるよ。」
囁きとともに落とされた、ぽすんという重感。
慣れないそれに、頭なでなでされているのかと気づいたのは、しばらく経ってからのことだった。
…きもちいい。
霧島くんって、意外にいいひと、なのかもしれない。
手つきこそ荒っぽかったけれど、ぽんぽん、と動く手からは、ちゃんとした優しさという温かさが感じられた。
もしかしたら、霧島くんには弟か妹がいて、よくこんな風に頭なでなでしてあげてるのかな。
似合わないけど、案外いけるかもしれない。
想像に胸をふくらませて、ほわほわと温かくなっていく心。
そこに、水どころか──氷を刺す一言が発せられるまで──あと数秒。

